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~嚥下(飲み込み)は、口腔内が密封された瞬間の反射運動~
咀嚼は、口の中で食べ物を飲み込みやすいように唾液と混ぜながら食べ物の塊(食塊:しょっかい)を作る工程です。
食塊が形成されると飲み込みの反射(嚥下反射:えんげはんしゃ)が起こり、食塊が咽を通過します。これが飲み込む、すなわち嚥下(えんげ)です。
嚥下が始まる時、まず口が閉じます。口が開け放しでは、動かせるのは舌だけで、嚥下しづらいはずです。同時に上下顎の歯が一瞬かんでいるのがおわかりでしょうか。顎がふらついていたのでは、嚥下はできません。顎を固定するために奥歯が一瞬かみ合うのです。歯は咀嚼だけではなく、嚥下にも重要な役割を果たしています。
嚥下の時の「呼吸」に注目してみましょう。嚥下する直前には息を止めています。止めた直後にゴクリと嚥下をします。嚥下した直後には、わずかですが息を吐いています。すなわち、嚥下は「息を吸って→止めて→ゴクンと嚥下して→吐く」といった具合に、呼吸リズムの繰り返しです。ビールをグッと飲んだ直後に「ハー」と感嘆のような息を吐いていることからも、一連の呼吸の流れが分かると思います。呼吸は何が担っているかというと、口や咽ばかりでなく、肺を取り囲む、胸筋、背筋、腹筋も活躍しています。
このように、たかだか1回の嚥下も、人体が総出となった協調運動なのです。
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