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どの歯が痛いか言い当てるのは難しい
歯の痛みは口全体にひろがり、どの歯が痛いかは自分でさえわからなくなることがあります。
前歯ならどの歯がおかしいかあまり間違えることなく言い当てても、奥歯に行くほど正解率は低くなります。歯を刺激して、どの歯を触れたかを回答する実験を行ったところ、3~5本の範囲内の歯を回答して、とくに1歯前方の歯と間違えやすく、第二大臼歯(前から7本目の歯)ではその手前の第一大臼歯と勘違いする人のほうが正解者より多くなるという結果があります。
ときとして、上下の歯痛の区別さえできなくなります。下の奥歯にむし歯があって痛みの原因となっていても、上の奥歯が痛いと錯覚を起こすこと、またその逆も珍しくありません。上の歯の痛みは顔面の知覚、運動をつかさどる脳神経である三叉神経の2番目の枝、下の歯の痛みは三叉神経の3番目の枝によってそれぞれ伝えられます。同じ神経から伝達される信号を脳自身が正確に判別できなくなっているからです。私たちがどの歯が痛いか言い当てるのは難しいのは当然です。
そのようなことから、トラブルを起こしている歯を的確に診断するためには、上下の歯を同時に見ることのできる口全体のレントゲン写真を撮る必要があります。
参考文献
「絵でわかる 歯科臨床に役立つ脳と神経の話」天野仁一朗著、クインテッセンス出版
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