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新型コロナウイルスワクチンを知ろう
地方独立行政法人 大阪健康安全基盤研究所理事長 朝野 和典 氏
ワクチンは、からだの中に弱毒化したウイルスそのものやウイルスの成分(タンパク質)を注射し、からだの中でそれらに対する抗体をつくらせ、その後で侵入してくるウイルスの感染や発病を防ぐことを目的としています。このように、感染に抵抗力をつけることを免疫といいます。
ワクチンにはいくつかの種類があります。たとえば、冬に打つインフルエンザワクチンはインフルエンザウイルスのたんぱく質を取り出してワクチンとして接種して、インフルエンザに対する抗体を体の中に作らせる不活化(成分)ワクチンと呼ばれます。はしかや風しんワクチンは、感染しても発症しない弱毒化したウイルスそのものを投与してウイルスに対する抗体をからだの中に作らせる弱毒生ワクチンとよばれています。
新型コロナウイルスに対するワクチンのうち、ファイザー社や武田/モデルナ社製のワクチンは、これまでになかったメッセンジャーRNAを成分とするワクチンです。メッセンジャーRNAはたんぱく質の設計図で、この設計図を注射することで、ウイルスが感染して人の細胞にくっつく部分のたんぱく質(スパイクたんぱく)を人の細胞の中で作らせます。このたんぱく質に対してからだの中で抗体ができ、本物のウイルスが体内に侵入したときに、ウイルスが細胞にくっつかなくすることで感染を予防します。ワクチンを打つことで、感染を防ぐ効果は完全ではないものの、変異株であっても入院や重症化は90%以上抑えることが期待できます。
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