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歯周病と糖尿病の関係

 ☆歯周病治療で糖尿病が改善する!

✳︎歯周病治療で糖尿病が改善する仕組み

糖尿病があると歯周病が進行しやすいことを説明しました。一方で、逆にこうして進行・重症化した歯周病が糖尿病の血糖管理に影響を与えること、

したがって歯周病をきちんと治療すると糖尿病も改善するケースがあることが明らかになってきました。

歯周病は、歯周病細菌の感染による感染症です。歯周病を起こす細菌の多くは、グラム陰性菌と呼ばれる細菌群に属しています。この群に属している菌は共通して内毒素と呼ばれる毒素を産生します。この毒素は非常に強力であるため、歯周病が重症化して毒素が生体に入り込むようになると、我々の体はこれを排除して何とか体を守ろうと努力します。

重症化した歯周病では歯の周りの組織が弱くなって容易に出血するようになるため、歯周病細菌の塊が直接生体に入り込むようになります。

この時、生体がこの細菌群の塊と接する面積がちょうど掌サイズになると見積もられています。つまり、掌の大きさの傷を負い、そこから毒素が体に入る状況が維持されます。この時、体を守る免疫システムを高度に活性化する物質を多量に産生します。特に、内臓脂肪組織でこの物質を多量に産生するようになると言われています。つまり、昔に比べ、若干体重が増加し脂肪組織が成熟してきた方で、この物質がより多く作られることがわかってきました。

実は、この物質こそが、前項で述べたインスリンの効きを障害する物質(悪玉物質)と同じものであることが判明しました。つまり、何も高度に肥満を呈していなくても、歯周病のような盛んに内毒素を産生する菌に多量に感染し、毒素が容易に体内に侵入する環境下では、体が毒素を排除する際に、本来太った方の内臓脂肪で産生されインスリンの作用を障害する物質と同じ悪玉物質を作ってしまいます。それが同じようにインスリンの働きを障害してしまうため、血糖が下がりづらい状態になっていることがわかってきました。

これにより、インスリンの作用不足が生じるため、血糖の管理が困難になります。よって歯周病をきちんと治療して、内毒素を排除(生体への侵入を断ってやる)すると、悪玉物質の産生が低下するため、血糖の改善が期待できると考えられるようになりました。

末広歯科医院

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