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歯周病と認知症
65歳以上における認知症の全国有病率は、2012年10月に15%、患者数は約462万人と推定され、年々有病率は増加しており、最新の推計では、2020年においては631万人(18.0%)、4年後の2025年には730万人(20.6%)に達すると推計されています。
*「日本における認知症の高齢者人口の将来推計に関する研究」(九州大学 二宮教授)による速報値
人口対比で65歳以上の5人に1人がかかる可能性のある認知症。
認知症はさまざまな病気により脳の働きが低下して起こる一連の症状をさす言葉で、病名ではありません。
認知症の原因になる病気は一般にはアルツハイマー病がよく知られていて、認知症の原因として最も患者数の多い病気です。
大脳の側頭葉である海馬の萎縮と、病理診断で「老人斑」と呼ばれる脳へのタンパク質の沈着が顕著にみられます。
その言葉からメラニン色素の蓄積に伴い体表に現れる老人性色素斑をイメージしますがそれとは異なります。
認知症の原因とされるタンパク質、アミロイドβが脳に蓄積され、それが細胞外に沈着した結果みられるものが老人斑で、神経細胞の減少や機能低下を引き起こします。
一方、歯周病は原因菌によって歯肉が炎症を起こし、最終的に歯を失うこともある口腔内の病気ですが、近年では全身疾患との関連も分かってきました。
歯周病とアルツハイマーとの関係については疫学的研究が従来から行われていました。
アルツハイマー病患者さんの脳内に、歯周病の原因菌の一つ「パルフィロモナス・ジンジバリス菌」という菌が見つかり、この菌が出す毒素が蓄積していたことなどが分かっています。
最近名古屋市立大学大学院医学研究科において、歯周病や歯の欠損(噛める力の低下)がアルツハイマー病分子病態、脳神経細胞の形態と機能、記憶・学習機能へ及ぼす影響を、動物モデルを用いて明らかにした研究結果が発表され、その結果歯周病にかかっているマウスにアミロイドβの蓄積量が多いことが判明しました。
口腔内の環境を整えて歯周病を防ぐことは、口の中だけではない、全身の健康に大きな関わりがあると考えます。
感染症が気になるこの時期こそ大切な口腔内の健康、万全の滅菌と対策を行ってお待ちしています。
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